当時の科学的背景:
- 流体力学の発展:
- 18世紀から19世紀にかけて、流体力学は急速に発展していました。特に、ニュートンの運動法則を流体に適用する試みが盛んに行われていました。
- オイラーによる理想流体の運動方程式など、基礎となる理論が既に存在していました。
- 粘性の概念:
- 流体の粘性(粘り気)という概念は、実験や観察を通じて認識されていました。
- ナビエとストークスは、この粘性を数学的に定式化することに成功しました。
- クロード=ルイ・ナビエ:
- ナビエは、弾性理論や構造力学にも精通しており、連続体力学の基礎を築いた一人です。
- 彼は、分子間の相互作用に基づくモデルを用いて、粘性を導出しました。
- ジョージ・ガブリエル・ストークス:
- ストークスは、数学と物理学の両分野で優れた業績を残した人物です。
- 彼は、連続体力学の枠組みの中で、応力とひずみの関係から粘性を導出しました。
- 共通の基礎:
- 二人は、ニュートンの運動法則や連続体力学といった共通の基礎知識を持っていました。
- 異なるアプローチ:
- ナビエは分子論的なアプローチ、ストークスは連続体力学的なアプローチというように、異なる視点から同じ現象を捉えました。
- 時代の要請:
- 当時の科学者たちは、流体の粘性という現象を定量的に記述する必要性を感じていました。
以下は、補足情報です。
- ナビエとストークスは、それぞれ異なる方法で粘性項を導出しましたが、最終的に得られた方程式は等価でした。
- ナビエの導出は、分子論的な仮定に基づいていたため、当初は批判もありましたが、後にその正当性が認められました。
- ナビエ-ストークス方程式の導出には、流体の質量保存の法則と運動量保存の法則が用いられます。