LLMの基盤技術であるTransformerについて詳しく
2025-02-03 14:18:34
Transformerについて
Transformerは、2017年にGoogleが発表した論文 "Attention Is All You Need" で提案された、自然言語処理(NLP)の分野における画期的なモデルです。従来のRNN(Recurrent Neural Network)ベースのモデルとは異なり、Attention機構という仕組みを導入することで、文全体の文脈を効率的に捉え、長文の翻訳や文章生成において高い性能を発揮します。Transformerの仕組み
Transformerは、主に以下の2つの要素で構成されています。1. Encoder(エンコーダ)
入力文(翻訳元の文)を単語やサブワードに分割し、それぞれをベクトルに変換します。その後、Self-Attention機構を用いて、文中の各単語が他の単語とどのような関係にあるかを学習し、文全体の文脈を考慮したベクトル表現を生成します。Encoderは複数層重ねることができ、各層で異なるレベルの文脈を捉えることができます。
2. Decoder(デコーダ)
Encoderが生成したベクトル表現を受け取り、目的言語(翻訳先の言語)の文を生成します。DecoderもSelf-Attention機構を用いて文脈を考慮しながら、単語を一つずつ生成していきます。また、DecoderはEncoderからの情報を利用するために、Encoder-Decoder Attention機構も備えています。
Attention機構
Attention機構は、Transformerの最も重要な要素の一つです。従来のRNNベースのモデルでは、文頭から順番に単語を処理していくため、長文になるほど文脈を捉えるのが難しくなっていました。一方、Attention機構では、文中のすべての単語の関係性を同時に考慮することで、文脈を効率的に捉えることができます。Transformerのメリット
Transformerは、従来のRNNベースのモデルに比べて、以下のようなメリットがあります。- 高い並列性: RNNは逐次的に処理を行うため並列化が難しいのですが、TransformerはAttention機構を用いることで並列処理が可能となり、学習速度が向上します。
- 長文の処理: RNNは長文になるほど文脈を捉えるのが難しくなりますが、TransformerはAttention機構により長文の文脈も効率的に捉えることができます。
- 高い性能: 上記のメリットにより、Transformerは翻訳や文章生成などのタスクにおいて、高い性能を発揮します。
Transformerの応用
Transformerは、自然言語処理の様々なタスクに応用されています。- 機械翻訳: Google翻訳などの翻訳サービスで利用されています。
- 文章生成: GPT-3などの大規模言語モデルの基盤技術として利用されています。
- 質問応答: 質問応答システムの性能向上に貢献しています。
まとめ
Transformerは、Attention機構という革新的な仕組みを導入することで、自然言語処理の分野に大きな進歩をもたらしました。現在では、様々な自然言語処理タスクにおいて、Transformerベースのモデルが主流となっています。Transformerは、今後も自然言語処理の分野において重要な役割を果たしていくと考えられます。